2011年3月27日日曜日

大阪圏の公示地価は全地点で下落 堺の液晶工場バブルも終焉

 18日に発表された大阪圏の公示地価(平成22年1月1日時点)は、全調査地点で下落となった。中でも、シャープの液晶パネル工場が建設され、20年秋の“リーマン?ショック”までは地価の上昇が目立った堺市が大幅に下降し、21年3月に開通した阪神なんば線の沿線も効果が期待されたが、他地域同様に落ち込んだ。ともに大阪を代表するプロジェクトだが、地価の上昇につながっていないことが浮き彫りとなった。

 「工場は次々とできあがってきているが、土地取引はぱったりと止まってしまった」。堺市内の不動業者はため息をつく。

 液晶パネル工場(堺市堺区)周辺は20社近くが進出。総投資額1兆円の巨大コンビナートが形成され、“パネルベイ”と呼ばれる。

 建設工事が始まった19年から、工場に近いリーガロイヤルホテル堺では宿泊客が毎月数百人ずつ増加するなどの効果が表れた。アパグループが昨年9月にホテルをオープンさせたほか、作業員向けの賃貸住宅も活況を示していた。

 これに伴い地価も上昇を続けたが、今回は工場近くを中心に堺市の工業地が大阪圏の下落率でワースト2、7、9位を占めた。住宅地、商業地も市平均でそれぞれ5%、8?2%の下落となるなど落ち込みが目立った。

 大阪府不動産鑑定士協会の松永明副会長は「堺市内で大きな雇用創出が見込まれたが、派遣労働者などが多く、思うように労働人口が増えなかった。上昇の反動もあるが、周辺地価はかなりの期待はずれだ」と分析する。マンションも売れ残りが目立ち、不動産経済研究所によると、近畿2府4県で6割以上の完成在庫があるが、堺市など郊外が目立つという。同研究所大阪事務所の石丸敏之所長は「駅直結など好条件以外は苦戦している」とする。

 神戸と奈良を結び、今月20日に開業1周年を迎える阪神なんば線は建設?設備投資を含め2千億円近い経済効果も試算されるが、新駅の九条駅(大阪市西区)近くの住宅地が7%下落となるなど地価に好影響は出ていない。同線の拠点でもある大阪難波駅周辺のオフィスビルの入居率も苦戦し、大阪ビルディング協会の牧野忠廣事務局長は「難波は新規募集が少ないので賃料は横ばいだが、空室率は増える一方だ」と、ため息。不動産業界からは「大規模開発をすれば地価が上昇する時代ではなくなった」と嘆く声が聞かれた。

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引用元:ドラゴニカ(Dragonica) ブログ

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